CB1100F電装系トラブル
今回のお題はこちらです。
前回のトラブル事例はプラス端子側でしたが今回はマイナス端子側のトラブルです。で、一番影響を受けるのが写真のACGレギュレター。
まずはCB-Fシリーズの配線図から。
注目して欲しいのはバッテリーの今回のテーマであるマイナス端子ですが、此処はほぼ総てのバイクが太いケーブル1本でボディーに接続されています。ご存知の通りエンジンに直結されたACG(ジェネレーター)はエンジンが廻る限り常に発電しバッテリーはその電圧を元に充電されています。しかし発電電圧はエンジンの回転数に比例するので回せば回すほど高い電圧を発生することになります。
一般的にはアイドリング状態でバッテリー電圧より僅かに高いくらいで、2000~3000回転で15Vを越えて来るようですが、この電圧を一定値に保つ役割の部品がレギュターです。
因みに誤ってバッテリー液を注入し忘れてバイクにセットし走り続けたらどうなるか?一般的にはセルが回らないので直ぐに気が付くはずですが、125cc以下の小排気量のバイクをキックで始動するような場合は気付くことなく走り続けることになります。
特に一昔前の小型車はセルが付いていない場合が殆どで、始動は問題なく出来てしまいます。また発電された電気も整流されてAC→DC化されるだけ、というような場合も多く有りました。その様なバイクでバッテリー液の無いバッテリーを装着したら・・・異常に高い電圧が発生する事になります。更にその状態でブレーキを掛けたりウィンカーを点灯したりすると・・・直ぐに切れる事は無いかもしれませんが、相当に切れ易くなります。(^^;
ホント?と思われる方も居ると思いますが、自分はツーリングの途中で参加者の方がこのトラブルで往生してしまいました。通常だとセルが回らないので未然に気が付くのですが、このバイクは上記の様に125cc?のキックで始動するタイプだったため気が付くのが遅れた訳です。幸い?途中のバイク屋さんで液とランプを手当して無事帰宅できましたが・・・
#一時流行ったスカチューンなるバッテリーを外すカスタム車を愛用されている方は注意ください。>対策部品が有るのかも知れませんが。
バッテリーは巨大なコンデンサです。その電解液が無ければコンデンサとしての機能を果たしません。これまた余談ですがノートパソコンのバッテリーを外し、100Vラインで使うとどうなるか?・・・実は暴走しやすくなります。コンデンサは高い電圧のノイズが発生した時に吸収する役割を持っています。またパソコンの中に入っているCPUを初めとする各種部品はノイズを出し放題で、その対策としてかなりのノイズ対策部品が入っているのですが、バッテリーは電源ラインに一番効果の有るノイズ吸収部品なのです。それが無くなれば余計なノイズで内部クロック波形が乱れ、タイミング狂ったり違うアドレスを読み込んだりしてしまいます。その結果が暴走と言う訳です。
バイクの場合も同様で電圧の安定には欠かせないものですから交換の際は液の注入に気を付けましょう。(^^;
話を戻しましょう。ジェネレーターで発生した電流はバイクの各種電気部品に供給されると同時にバッテリーの充電に廻ります。その充電電流の流れるルートはプラス端子から流れ込み、マイナス端子からジェネレーターに戻るというルートです。仮に14Vの電圧を発生していた(結果的に14Vになるのですが)とすると、バッテリーの標準的な電圧である12.6Vに対して1.4V高い電圧という事になります。バッテリー内部の抵抗値は数オームですが、仮に2オームとするとオームの法則(電圧=電流×抵抗値)から1.4V/2オーム=0.7A(700mA)の充電電流が流れていることになります。
もしもこの時マイナス端子(プラス端子でも同様ですが)が外れると・・・この0.7Aの電流は電源ラインに繋がれた他の部品に流れ込もうとします。良く電流は水の流れに例えられますが、流れている水を諫早湾のギロチンの様に急に止めたらどうなるか?一気に水位が上昇するでしょう。この水位が電圧に相当します。
バッテリーラインには色々な電装品が接続されています。特に近頃のバイクはFIやらABS、メーター内部も電子部品が山ほど入っています。幸い?CB-Fの時代はランプを除けばレギュレターとイグニッション関係部品しか有りませんが、イグニッションの方はコイルが電流を押さえてくれるので良いのですが、問題になるのはレギュレターという事になります。
そのレギュレターの内部回路を見てみると
CB-Fシリーズは電磁石を使って発電しています。上記図のB、F端子間のコイルがその電磁石の部分で、ここに電流を流すのもこのレギュレターの役目です。動作原理は簡単でR3から流れ込む電流でTr2、Tr3がONしコイルに電流を流し発電させます。しかしバッテリー電圧が上昇し、右端に有るR1、R2によって設定された電圧以上になるとZDが導通状態になりTr2、Tr3がOFFされ、その結果B、F端子間に接続されたローターコイルへの通電をカットして発電を停止させる仕組みになっています。>正確には15V程度になるよう電流量をコントロールするのですが。
エンジンが回って15Vの上限電圧に近い状態ではレギュレター内部への電流は殆ど流れません。多分100mAも流れないと思うのですが、仮に100mAとしましょう。その時の抵抗分は15V/0.1A=150オームとなります。そこに0.7Aの電流が押し掛けるのですから計算上は0.7A×150オーム=105Vまで上昇する事になります。
実際には60~70V程度が一般的ですし、堰き止められて上昇する水位もピ-クは一瞬で有るように、通常は直ぐ(数mS後)にはレギュレターに調整された15V程度に落ち着きます。
一方、レギュレター内部の電子部品は30Vまでは故障しないで耐えられる物が殆どですが、それを大幅に超える100V(60V)もの電圧が掛かれば故障する可能性は高くなります。しかし、バッテリー端子の外れなど使用中に起こることは容易に察しが付きます。そこでメーカーでは保護回路を設け故障を防止しています。
一般には27V~30V以上の電圧が内部に掛からないような回路が組まれているのですが、この回路が完全に動作を開始するにはほんの僅かの時間(1mS以下=1/1000秒以下)が掛かります。極短時間でもあり、その間は保護回路が不完全な動作状態で耐えることになります。
つまり上記の様に電圧が一番高く発生している一瞬は無防備な状態となり、レギュレターの「体力」で必死に頑張っている。という事になる訳です。それを考慮して設計時には高い電圧×極短時間の電圧(パルス)を通常では有り得ないような回数掛ける試験を行い、それでも壊れないことを確認します。
したがってバッテリー端子が外れても元に戻らなければ通常は故障することは有りません。ただし液が無くなった上記例のようにその状態が長時間続くようだとい今度は内部の回路が発生する自己発熱で故障する可能性が出てきます。こちらは必ずと言う訳では有りませんが。
しかし、端子の接続が不完全で接続と外れた状態が連続するような場合は話が違ってきます。具体的には取付け端子の締め付けが緩んでグラグラになっているような状態で、症状として一番解りやすいのはアイドリング中にニュートラルランプが明るくなったり暗くなったりの点滅を繰り返したりします。
この時、上記メカニズムから高い電圧が発生し、保護回路も十分に働かず、という最悪の状態が連続して起こる事になります。その後はレギュレターが(壊れてなければ)電圧を下げるよう制御しますし、保護回路も作動するので安全圏内の電圧に下がるのですが、外れたり接続したりを続けると一度下がった電圧が再び上昇し極短時間の高い電圧が繰り返し掛かり続けることになり、内部回路には相当なストレスが掛かることになります。例えば端子がゆるゆるのままで走行し、エンジンの振動が掛かった場合等に起こり得ます。
で、レギュレター内に数ある部品の中で一番タフネスの低い部品が最初に壊れるのですが一般的には半導体です。特にCBーFの時代は比較的余裕のある抵抗を選んでいた事と、半導体にとって数mSの時間は非常に長い時間(大きなストレス)となるからです。
もしも上記図でZD、Tr1が壊れればローターへの通電をカットできなくなり、電圧は回転数に比例してどんどん上ります。15Vをはるかに越える電圧が発生する事も有り得ます。一方Tr2、Tr3が壊れれば通電が出来なくなり発電不良=電池バイク状態となる訳です。>ただし、端子がゆるゆるの様な場合は例え発電出来ていてもバッテリーに十分な充電が出来るとは思えませんが・・・(^^;
と言う訳でバッテリーケーブルには注意しましょう。特に車体との接続部分は見落としがちです。(汗)
なのでもしも上記症状(ニュートラルランプの点滅)が出ているときはまずはバッテリーケーブルの確認が必要です。
と、長々と書いてしまいましたがご理解いただけたでしょうか?
不明点や間違い等有ればコメント欄からどんどんご指摘ください。
前回のトラブル事例はプラス端子側でしたが今回はマイナス端子側のトラブルです。で、一番影響を受けるのが写真のACGレギュレター。
まずはCB-Fシリーズの配線図から。
注目して欲しいのはバッテリーの今回のテーマであるマイナス端子ですが、此処はほぼ総てのバイクが太いケーブル1本でボディーに接続されています。ご存知の通りエンジンに直結されたACG(ジェネレーター)はエンジンが廻る限り常に発電しバッテリーはその電圧を元に充電されています。しかし発電電圧はエンジンの回転数に比例するので回せば回すほど高い電圧を発生することになります。
一般的にはアイドリング状態でバッテリー電圧より僅かに高いくらいで、2000~3000回転で15Vを越えて来るようですが、この電圧を一定値に保つ役割の部品がレギュターです。
因みに誤ってバッテリー液を注入し忘れてバイクにセットし走り続けたらどうなるか?一般的にはセルが回らないので直ぐに気が付くはずですが、125cc以下の小排気量のバイクをキックで始動するような場合は気付くことなく走り続けることになります。
特に一昔前の小型車はセルが付いていない場合が殆どで、始動は問題なく出来てしまいます。また発電された電気も整流されてAC→DC化されるだけ、というような場合も多く有りました。その様なバイクでバッテリー液の無いバッテリーを装着したら・・・異常に高い電圧が発生する事になります。更にその状態でブレーキを掛けたりウィンカーを点灯したりすると・・・直ぐに切れる事は無いかもしれませんが、相当に切れ易くなります。(^^;
ホント?と思われる方も居ると思いますが、自分はツーリングの途中で参加者の方がこのトラブルで往生してしまいました。通常だとセルが回らないので未然に気が付くのですが、このバイクは上記の様に125cc?のキックで始動するタイプだったため気が付くのが遅れた訳です。幸い?途中のバイク屋さんで液とランプを手当して無事帰宅できましたが・・・
#一時流行ったスカチューンなるバッテリーを外すカスタム車を愛用されている方は注意ください。>対策部品が有るのかも知れませんが。
バッテリーは巨大なコンデンサです。その電解液が無ければコンデンサとしての機能を果たしません。これまた余談ですがノートパソコンのバッテリーを外し、100Vラインで使うとどうなるか?・・・実は暴走しやすくなります。コンデンサは高い電圧のノイズが発生した時に吸収する役割を持っています。またパソコンの中に入っているCPUを初めとする各種部品はノイズを出し放題で、その対策としてかなりのノイズ対策部品が入っているのですが、バッテリーは電源ラインに一番効果の有るノイズ吸収部品なのです。それが無くなれば余計なノイズで内部クロック波形が乱れ、タイミング狂ったり違うアドレスを読み込んだりしてしまいます。その結果が暴走と言う訳です。
バイクの場合も同様で電圧の安定には欠かせないものですから交換の際は液の注入に気を付けましょう。(^^;
話を戻しましょう。ジェネレーターで発生した電流はバイクの各種電気部品に供給されると同時にバッテリーの充電に廻ります。その充電電流の流れるルートはプラス端子から流れ込み、マイナス端子からジェネレーターに戻るというルートです。仮に14Vの電圧を発生していた(結果的に14Vになるのですが)とすると、バッテリーの標準的な電圧である12.6Vに対して1.4V高い電圧という事になります。バッテリー内部の抵抗値は数オームですが、仮に2オームとするとオームの法則(電圧=電流×抵抗値)から1.4V/2オーム=0.7A(700mA)の充電電流が流れていることになります。
もしもこの時マイナス端子(プラス端子でも同様ですが)が外れると・・・この0.7Aの電流は電源ラインに繋がれた他の部品に流れ込もうとします。良く電流は水の流れに例えられますが、流れている水を諫早湾のギロチンの様に急に止めたらどうなるか?一気に水位が上昇するでしょう。この水位が電圧に相当します。
バッテリーラインには色々な電装品が接続されています。特に近頃のバイクはFIやらABS、メーター内部も電子部品が山ほど入っています。幸い?CB-Fの時代はランプを除けばレギュレターとイグニッション関係部品しか有りませんが、イグニッションの方はコイルが電流を押さえてくれるので良いのですが、問題になるのはレギュレターという事になります。
そのレギュレターの内部回路を見てみると
CB-Fシリーズは電磁石を使って発電しています。上記図のB、F端子間のコイルがその電磁石の部分で、ここに電流を流すのもこのレギュレターの役目です。動作原理は簡単でR3から流れ込む電流でTr2、Tr3がONしコイルに電流を流し発電させます。しかしバッテリー電圧が上昇し、右端に有るR1、R2によって設定された電圧以上になるとZDが導通状態になりTr2、Tr3がOFFされ、その結果B、F端子間に接続されたローターコイルへの通電をカットして発電を停止させる仕組みになっています。>正確には15V程度になるよう電流量をコントロールするのですが。
エンジンが回って15Vの上限電圧に近い状態ではレギュレター内部への電流は殆ど流れません。多分100mAも流れないと思うのですが、仮に100mAとしましょう。その時の抵抗分は15V/0.1A=150オームとなります。そこに0.7Aの電流が押し掛けるのですから計算上は0.7A×150オーム=105Vまで上昇する事になります。
実際には60~70V程度が一般的ですし、堰き止められて上昇する水位もピ-クは一瞬で有るように、通常は直ぐ(数mS後)にはレギュレターに調整された15V程度に落ち着きます。
一方、レギュレター内部の電子部品は30Vまでは故障しないで耐えられる物が殆どですが、それを大幅に超える100V(60V)もの電圧が掛かれば故障する可能性は高くなります。しかし、バッテリー端子の外れなど使用中に起こることは容易に察しが付きます。そこでメーカーでは保護回路を設け故障を防止しています。
一般には27V~30V以上の電圧が内部に掛からないような回路が組まれているのですが、この回路が完全に動作を開始するにはほんの僅かの時間(1mS以下=1/1000秒以下)が掛かります。極短時間でもあり、その間は保護回路が不完全な動作状態で耐えることになります。
つまり上記の様に電圧が一番高く発生している一瞬は無防備な状態となり、レギュレターの「体力」で必死に頑張っている。という事になる訳です。それを考慮して設計時には高い電圧×極短時間の電圧(パルス)を通常では有り得ないような回数掛ける試験を行い、それでも壊れないことを確認します。
したがってバッテリー端子が外れても元に戻らなければ通常は故障することは有りません。ただし液が無くなった上記例のようにその状態が長時間続くようだとい今度は内部の回路が発生する自己発熱で故障する可能性が出てきます。こちらは必ずと言う訳では有りませんが。
しかし、端子の接続が不完全で接続と外れた状態が連続するような場合は話が違ってきます。具体的には取付け端子の締め付けが緩んでグラグラになっているような状態で、症状として一番解りやすいのはアイドリング中にニュートラルランプが明るくなったり暗くなったりの点滅を繰り返したりします。
この時、上記メカニズムから高い電圧が発生し、保護回路も十分に働かず、という最悪の状態が連続して起こる事になります。その後はレギュレターが(壊れてなければ)電圧を下げるよう制御しますし、保護回路も作動するので安全圏内の電圧に下がるのですが、外れたり接続したりを続けると一度下がった電圧が再び上昇し極短時間の高い電圧が繰り返し掛かり続けることになり、内部回路には相当なストレスが掛かることになります。例えば端子がゆるゆるのままで走行し、エンジンの振動が掛かった場合等に起こり得ます。
で、レギュレター内に数ある部品の中で一番タフネスの低い部品が最初に壊れるのですが一般的には半導体です。特にCBーFの時代は比較的余裕のある抵抗を選んでいた事と、半導体にとって数mSの時間は非常に長い時間(大きなストレス)となるからです。
もしも上記図でZD、Tr1が壊れればローターへの通電をカットできなくなり、電圧は回転数に比例してどんどん上ります。15Vをはるかに越える電圧が発生する事も有り得ます。一方Tr2、Tr3が壊れれば通電が出来なくなり発電不良=電池バイク状態となる訳です。>ただし、端子がゆるゆるの様な場合は例え発電出来ていてもバッテリーに十分な充電が出来るとは思えませんが・・・(^^;
と言う訳でバッテリーケーブルには注意しましょう。特に車体との接続部分は見落としがちです。(汗)
なのでもしも上記症状(ニュートラルランプの点滅)が出ているときはまずはバッテリーケーブルの確認が必要です。
と、長々と書いてしまいましたがご理解いただけたでしょうか?
不明点や間違い等有ればコメント欄からどんどんご指摘ください。


この記事へのコメント
>バッテリは・・電圧の安定には欠かせないものですから
自分は電気が苦手です。 目に見えないので判りずらい(^_^;)
話を聞いていたら、故障原因が判りました。
電気って、複雑ですね。
>話を聞いていたら、故障原因が判りました。
電気って、複雑ですね。
かなりの時間が掛かりましたが少しでも解っていただけると長々と書いた甲斐が有ります。
確かに電気は見えないので複雑と思いがちですが、最新の計測器を使えばかなりの部分を見ることが出来ますよ。
むしろ動いている状態のエンジン内部の方が見えないので解りづらいかも・・・(^^;
・・・!うちの神さんの機嫌が一番解りづらいかも。(苦笑)
相変わらず凄い知識で私には何のことやら理解できずにただ脱帽です。^^;
突然現れ申し訳ありません!
またご一緒お願いしまーす!
実は書いてる本人も何を言いたいのか?解らなくなり何回も読み返したりしてました。(爆)
少しでもお役に立てれば嬉しいです。
少しづつ暖かくなって来ましたね。
またお合いしましょう!